『「死の棘」日記』

『「死の棘」日記』島尾敏雄著を読む。
といっても、図書館の貸し出し期限2週間のうちに読み終わることができなかった。残念。

『死の棘』を読んだのも20年くらい昔のことなので、内容はほとんど覚えていないのだけど、そのインパクトだけは心のどこかに火傷のように残っていて、島尾敏雄、と聞くとつい反応する。

日記自体は、事件から1年後の暮らしなのだが、島尾夫婦にまだ平安は訪れておらず、毎朝、ミホ夫人の錯乱から一日が始まる。
誰もと同じ一日24時間とは思えないほど、一日のうちにいろいろなことが起こる。
感情の起伏だけでも相当な揺れ幅で、首をつろうとしたあとに、家族で食卓を囲み、風呂に行くなごやかな風景。読んでいるだけでジェットコースターに乗っているような感情の波を体験するのに、実際にこの暮らしの渦中にいた島尾氏とミホ夫人のエネルギーたるや…!

くたくたになりそうな毎日を、書き留めておいた島尾氏もすごいが、この赤裸々な日々の記録を公開することを許したミホ夫人には畏れ入る。
書くということ、それを人目に晒すということに、身を切るような覚悟をしながら、それをせざるを得ない作家の性を切々と感じる。


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