与那国のサトウキビ刈りで
肉体労働にちょっと自信をもった私は
内地に帰ってから、八ヶ岳の山ろくで
高原レタスの収穫のバイトを始めた。
しかしこれが、とんでもない誤算で
予想以上につらい労働となってしまった。
私の誤算とは
その1 朝4時半から始まる!
与那国では朝早いといったって6時くらいだった。
低血圧で朝が弱い私の稼働率は30%減。
その2 寒い!
夏とはいえ高原の早朝は寒い。
霧が立ち込め、指先がかじかむ。
亜熱帯体質の私の稼働率はさらに30%減。
その3 住み込み
与那国では農家に住み込みで働いたことはなかった。
慣れない環境に緊張して稼働率10%減。
その4 これは、私がいた農家だけのことかもしれないけど
レタスを「換金作物」としてしかとらえてなかったこと。
与那国だってサトウキビは換金作物だけど
なんかもっとこう、あったかいものがあったよ。
そんなこんなで
精神的肉体的に労働力が落ちている私に対して
農家の方もよい印象を持つわけもなく
お互いにつらくなって、シーズン半ばでやめてしまった。
農作業とひとくちで言ったって
地域や作柄によってぜんぜん違う。
適応能力も足りなかった。
当時は、あわよくば「有機農業」をやりたいな、と
心の片隅で思っていたが
自分には農業はむいてない、と
すっぱりあきらめた。
今も、たまに農業の現場におもむくと
ちくっと後ろめたさを感じることがある。
私には農業はできなかったけど
農業に携わる人とその環境に対しては
いつも意識を向けていたいと思うのだった。