与那国の話

勢いがついてしまったので、与那国の話をもう少し。

与那国ではサトウキビ刈りのほかにも
いろんな仕事をしました。

ほぼ定職としていたのは家庭教師。
畑仕事も頼まれていろいろと手伝った。
畑の石を拾ったり、サトウキビ植えもやった。
測量のバイトでは道もないうっそうとした亜熱帯の森を
一日中歩いた。

特におもしろかったのはゴミ収集のバイト。
1週間だけパッカー車の後ろに乗って
島中のゴミを集めてまわった。

春先だったが気温は高く
生ゴミの袋を持ち上げると蛆虫がぼろぼろっと落ちた。
今のように分別もしなかったし
残飯なんてバケツからそのまんま
パッカー車に投げ込んだりした。

集めたゴミは島の北側にあるゴミ捨て場に
だだだ…と車から吐き出される。
焼却所はない。
燃えるゴミも燃えないゴミも、そのまま放置。

あちこちに小さなゴミの山があり
カラスがたくさん群がっていた。

このゴミ…
考えてみればほぼ9割、島の外から運ばれてきたものだ。
船や飛行機に乗せられて。
一方的に入ってきて、そのまま溜まっていく。
このゴミ捨て場もじきにいっぱいになってしまうだろう。

なんだか日本列島の縮図のように思えた。
当時は特にバブル前夜で、消費に走っていた時代。
自給率の低いこの島は、ゴミを山ほど輸入していた。
次つぎと島の外から入ってくるゴミ。
燃やしても埋めてもあふれかえるゴミ。

あの頃のことを思えば
企業も行政もゴミ問題に敏感になったし
循環型ライフスタイルも市民権を得てきたし
だいぶよくなってきたんだろうな。

でも与那国はどうだろう。
島の中だけでの自給自足はきびしいだろうし
外からのモノや人に頼っていかなければ
やはり難しいだろう。

モノはともかく、外から入ってくる人が
与那国にゴミを溜めちゃいけないな。

旅の人として与那国にいる以上、それをいつも
肝に銘じていたい、とゴミの山を見ながら
思ったのだった。

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