小っさい自分

3年前の3月11日
わたしは店にひとりでいました。
その頃、てくてくは店舗をふたつもっていて
わたし以外のスタッフは全員もうひとつの店のほうにいて
わたしは今の店にひとりでいました。
揺れ始めた時、お客さまは子連れのお母さんがいらっしゃいました。
建物のみしみしときしむ音がして
天井からぶら下がるライトがぐらんぐらんと揺れていました。
揺れはとても長く感じたけれど
モノが落ちるとか崩れるとかいうこともなく
お客さまは意外と落ち着いていて
それでもライトが落ちてきたら危ないと思い、
外に出るように誘導しました。
向かいのカメラ屋さんからもお客さんが数人外に出ていて
ちょっと騒然としていました。
お客さまがお帰りになってから、
パソコンで地震情報を探し始めました。
テレビもラジオもないので、最初のうちは
どのくらいの被害なのかまったくわからなかったけれど
そのうち、ネットでテレビ画面を見ることができるサイトを見つけました。
現場からの映像。畑やビニルハウスが濁流に飲まれていくのを
たったひとりで何時間も見続けてしまったのです。
広い店舗の片隅で・・たったひとりで
泣きながらすさまじい光景と向き合っていました。
目を離せない、でも見てはダメ、ひとりで見ていてはいけない。
自分が今ここにいるという現実が揺らいでいく。
不安と恐怖と孤独感がどんどん募っていく。
もうひとつの店のほうに電話して「みんなは大丈夫?」と聞くと
「なにも問題ないよ」とまったく気のない返事。
でもわたしは全然大丈夫ではなかった。

いまもその時のことを思い出すと
心臓がきゅっと痛くなる。
被災された方、もっと大変な想いをされている方がおられるというのに
わたしはこんな自分だけのことでつらい気になっている。
小っさい自分。

そんな小さい自分のことを
わざわざ書きたてるのも恥ずかしいのだけど
これを言葉にしなければ、
3.11を語るわたしの言葉は空しいだけだから。
わたしの3.11はずっとそこで止まっていたから。

意識下から表に出すことができる
チカラがついたということ。
自分でも驚きながらもありがたく受け止めている。
書けてよかった。

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